絵本を楽しむ「大人のための絵本読みきかせ講座」
この絵本に出会ったのは数年前、本屋さんで偶然手にした時でした。なんとなく、タイトルが気になり手を伸ばしてページをめくっていました。読んでみると不思議と心に響くものがあり、この大きな絵本を買いました。この表紙のおじいさんと子どもの絵、そして、静かに語りかけることばがこころに残ります。ときどき自分のために開いてみていました。
誰かと一緒に読む機会をなかなか持てないでいましたが、ようやく大人の会でこの絵本を読みました。
「おじいちゃんと森へ」 平凡社
原作:ダグラス・ウッド
絵:P.J.リンチ
訳:加瀬則芳
エッセイ:C.W.ニコル
この絵本からは、木々のささやきがきこえてきました。川の流れが、鳥の羽ばたきが、感じられました。おじいちゃんと孫のぬくもりがありました。
おじいちゃんと孫のやりとりから、すべての存在があるがままにいきづいていることを静かに受け取ります。そして「いのり」とは。。。。祈りとはなにかを問いかけ考えることを、ひとりひとりの中に種まきするような絵本だと感じました。
この絵本には途中、小さかった孫が成長した姿で一人描かれている言葉の無いページがあります。言葉がないこのページにはたくさんのメッセージがありました。「大人のための絵本読みきかせ」で気づいたこのページが持っているものに心が震えました。どうぞ、実際にこの絵本に出会って、そのページをじっくりと感じてほしいと思います。
自分でページをめくって読んでいるとき、その時に感じていたことと、誰かが読んでくれていることで出会う感じは違う体験になるのですね。絵本の絵を通して、流れを文字を追うことなく絵本そのものを感じて、そして、読んでくれているその声を通して、その人とともにいることで伝わるいのちを、この絵本は伝えていました。
巻末にある、C.W.ニコルさんの文章から、
「シンプルでピュアな本です。
≪生きていてくれて、ありがとう≫というメッセージがこめられた本です。」
とあります。
この地球から伝わるたくさんのいのちを感じることにつながります。
「おじいちゃんと森へ」
この絵本に出会えたことに感謝します。