杖をつきながら歩くとき
杖の先が大地に触れるところを感じる
自分の体の軸が杖を捉えて重心をうつす
杖をつかむ手が体と杖を繋いで一体となるのを助ける
一歩がこんなにも一歩であったのかと全身で感じる
一歩一歩、一歩一歩
歩みを前にすすめるために
歩くことにあらゆる感覚を繋いでいく
歩くことに集中するってこういうことなのか
歩みを前にすすめるために歩くことに集中する
呼吸のリズムが歩みに合ってくる
体のリズムが自分の歩みに寄り添ってくる
歩みのリズムが自分の体のリズムに合わさってくるのか
そう、このリズムでいい
こうやって歩いて行けばいい
自分のリズムに合っている歩みは心地良い
杖がこのリズムを支えている
面白いことに
自分のリズムで歩いていると
感性の軸が自分の芯につながって動き出す
自分の軸からゆっくりと捉えていくのを感じる
この感じは嬉しい
自分が今ここにあることを感じる一歩一歩がある
一歩に集中していた感性がやがてリズムをつかむと
自分の軸を中心に周りにしっかりと広がっていく
人混みの中を歩くとき
他の人のリズムに合わせようとしているとき
知らず知らずに自分を見失い他者のペースに合わせて
いつか痛みが歩みを止めて動けなくなるのだった
みんなと同じスピードで歩かなくていい
みんなから遅れて歩いてもいいのだと
杖をつきながら何度も自分に言って聞かせた
自分の一歩を歩んでいくこと、それが自分が歩き続けることだから
一歩一歩に注意を向けていると
やがてリズムは地球と響き合い感覚が広がる
自分が自然の営みの一部とつながっているのを感じる
大地とつながって立ち歩みをすすめていると知る
杖をついて歩くとき
人混みの中、他のひとたちと歩くときに
自分の歩みを大切にしながら歩く自分の心を支えてくれた
自分にとって必要な練習だったのだと思える
ティク・ナット・ハンの歩く瞑想についてきいたとき
豊かな一歩がそこにあるのを知り自分の歩みを感じた
一歩一歩に感じていたたくさんの気付きがそこにあった
自分のペースで一歩一歩を歩んでいく喜びが重なった
(写真:数年前、母、娘達と一緒に白神山地を歩いたとき)