17文字こころの旅・季語 「蕎麦」「蕎麦の花」「花蕎麦」
17文字の旅
俳句を作り始めたことで、今まで気づかないで通り過ぎていたことがまわりに溢れていることを知りました。俳句の奥深い世界に出会い、今まで見ていたこと、感じていたこと、当たり前に通り過ぎていたことが、これほどに曖昧なものだったのかと驚いています。
自分が見て、感じて、心を動かされたことに、向き合っていたと思っていましたが、俳句を作り始めてから、まわりの世界と自分の心と感覚を見つめる視点と言葉を探るようなプロセスを体験しています。それは世界と自分とのつながりをつかむ旅のように思えます。その旅の友になるのが季語。季語を知ることは手がかりをつかむことになると知りました。季語を学んでいきます。
「俳句歳時記 秋 第五版 角川書店編」から季語と俳句を挙げ、感じたことを書いてみます。
蕎麦はまだ花でもてなす山路かな 芭蕉
蕎麦の花が一面に白く広がるところは、可愛らしい花々が楽しげに明るくそこで語りかけているようにも感じられます。運転していても、歩いていても、蕎麦の花畑を、つい嬉しくなって見てしまうのです。それは、新蕎麦を食べることへつながる楽しみであり、花が咲く一面の畑に出会うことそのことが、ただただ喜びにつながることを思います。
「花でもてなす山路かな」と感じる山路を歩む芭蕉の心が嬉しく響いてきます。
そこだけが光りてをりぬ蕎麦の花 加藤瑠璃子
緑の山間で、草むらの間や、稲穂が垂れ始めた田の間に、蕎麦の花が広がる畑は光が集まっているように感じられます。
蕎麦の花に惹かれる心が何を感じているのか、その光はどんなことを浮かび上がらせているのかなあ。